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MARCとは?

MARCとは?

2010年1月14日更新


 現在では図書館の電算化がずいぶん進みました。大きな図書館ではたいてい検索用のコンピュータ端末が並んでいて利用者が自分で本を探しています。以前は本を探す時には、ずらりと並んだカードケースに目当てをつけて一枚一枚カードを繰って探したものです。もちろん今でもそうしている図書館は多いことでしょう。このカードケースに入っているカード(に記されている情報)のすべてをカード目録といいます。

 MARCとはこのカード目録をコンピュータに載せたものと乱暴に言ってしまってもよいでしょう。MAchine Readable CatalogingというのがMARCの元になった英語です。つまり直訳すると、機械可読目録ということになります。カード目録は人間しか読めないけれど、MARCは機械すなわちコンピュータが読める目録というわけです。

 ここまでの話ではMARCという言葉を最も広い意味で使いましたが、普通は国立国会図書館の発行する全国書誌JAPAN MARCや大手出版取次などが発行する大規模な書籍目録データ(数百万冊の書誌データ)のことを指します。

 電算化された図書館では係が、膨大なMARCデータから1冊ずつデータを抽出して、「この本を持っているぞ」と登録作業を行ったから、ユーザーは書名や著者名での検索が出来るわけです。元のMARCデータを作成する側もそれを使って登録する側も大変なマンパワーがかかっていることがおわかりいただけますね。

 元データであるMARCを作成するにはルールがあります。ここ数年でコンピュータの性能が猛烈に向上したことと、インターネットの普及でユーザーが検索に慣れたので、作成されたルールが違うMARCの混在により検索結果に差が出ることはずいぶん減りました。しかし、いままでのご経験で「MARC」は統一しなくてはならないという意見のかたもおいでです。

 MARCの統一により検索方法と結果が同じになるというのはメリットです。一方、検索方法と検索結果に違いはあるが、ともに「本を探す」という実用に十分耐えるならば2つ以上のMARCを利用することで互いの費用対効果=価格に競争原理を導入できる行政の財政的メリットのほうが大きいと考える自治体様が増えています。

 さらに公共図書館と学校図書館の役割は違います。読書履歴のデータ一つとっても真っ向から反する意見です。「個人の思想信条が判明するため履歴データは厳密に廃棄」される公共図書館と、「これまで読んだ本から次の本を薦めるのが読書指導である」という学校図書館が同じMARCや同じシステムである必要はないとの見解が急速に増えているのが全国の趨勢です。

MARCの選定で本の購入先が決まるってご存じですか?
日書連MARCは地元書店も公平に利用できる唯一のMARCです。


 MARCを制作している会社を見てみると、書籍の販売や流通を業とする会社ばかりです。MARCには、顧客の囲い込みの目的があることは出版業界では知られています。「あるMARC」を採用した場合、その関連会社からあらたに書籍を購入すると、図書館の都合が良くなるような「からくり」があります。MARCの売り込みとは、いわば著作権と使用許諾による顧客囲い込み書籍販売営業政策と言っても過言ではありません。

 顧客が便利さを追求し、便利な業者で購入するのは当然で、全く非難されるべきことではありませんが、「こども110番の家」や生活科、あるいは中学校で職業体験の受入れと地域に結びついて学校に協力する書店が自らの力ではなんともならない状態に、突然追い込まれています。よく耳にする、「データはX社ですが、本は今まで通り本屋さんで買いますよ」という教育委員会担当者の言葉の無邪気さが恨めしくさえあります。

 日書連MARCをご採用いただくことで、書店は電算化装備に対応できます。地域の文化を守るためにも、ぜひ書籍は地元書店でお買い上げ下さるようにお願い申し上げます。


 具体的に一例を申します。請求記号(背ラベル)には、NDC(日本十進分類法)による分類記号を記載します。一部児童書には書籍奥付けにNDCが記載印刷されているものもあります。その正誤見直しも含めて、図書館司書の手によって行われるのが本来ですが、学校図書館向けには地元書店が装備作業を請け負っているケースが数多く見られます。

 図書館が電算化された場合、従来の装備に代わり電算化に対応した装備が求められます。ところがMARCには著作権があり、使用許諾を図書館にしか与えません。ゆえに使用許諾のない地元の書店はそのMARCでは、その本に対してどんなNDC分類が与えられているか知るすべがないので、今まで手作業で装備作業をして納品していたとしても、背ラベルを貼ることができません。他のMARCのNDCを流用して背ラベルを貼り付ける、あるいは書店の主観で従来通りNDCを付けると、MARCデータと現物書籍の背ラベルの不一致が起き、書籍の紛失につながるので、もちろんできません。

 先生や図書館員は多忙と便利さで、装備を委託できる業者から本を買おうとします。その結果、書店は能力とやる気はあっても、書籍を装備するという行為に関与できず、すべての図書の発注はMARC会社にする方向へ急速にシフトしています。書店は図書館の「ごめん!むこうに頼むと便利だから」という声に沈黙するしかありません。


詳しくは以下のリンク先を参照

【株式会社教育システム】

【有限会社コンピュータハウスナノビット】
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